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64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

横山秀夫

★★★★☆

 

とにかく登場人物が多いんだよ~!!!

殆どが警察関連者なので「警察」で記憶することも出来ず、肩書きと名前をひたすらメモする日々。手に取る際はメモをお忘れなく。

主人公三上はD県警の広報官。身体醜形障害を持つ娘が失踪をし、その娘の捜索を人質に取られるような形で上司の言うことには逆らえないでいる。

もともと刑事出身の三上は刑務担当である広報の仕事に親しみを持てない。そんな中、D県警最大の未解決事件「翔子ちゃん誘拐殺人事件」の慰問のため警察庁長官がD県を訪れることになる。

遺族の慰問を取り付けるため、広報である三上が翔子ちゃんの父である雨宮を訪ねるところから事件の本質、そして警察庁長官の目的を知ることとなる。

 

とある未解決事件にまつわる話から、記者と警察の間で起こる問題、警察内の権力争い、そして隠蔽など様々な問題が浮上する。

著者である横山秀夫の作品は、「半落ち」を読んだことがあるけれど、その時の穏やかな作風とは変わって激しい権力争いの話が印象的でした。

元新聞記者だから書けたであろう緻密な記者クラブと警察の描写には圧巻。

もともと刑事警察出身の三上が「事件の解決をし、現場で動く自分たちこそが警察だ」という考えから広報官としての職務に目覚める過程はとても読み応えがありました。(下巻の中盤くらいからなので、なかなか心が折れそうだったのだけど)

 

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

64(ロクヨン) 下 (文春文庫)