Aではない君と
Aではない君と
★★★★★
先に他にも本を読んでたんですが、本当に良かったので覚書順番前後しちゃいますが、興奮冷めやらぬうちに。
久しぶりに本当に良い本に出会ったと思った。
主人公吉永は妻と別れて数年、会社ではプロジェクトを率いており、プライベートでも美咲という彼女がおり、真剣に結婚を考えている。
ついに念願の大プロジェクトを掴んだその日、祝勝会の最中に不在着信が来ていた。
別れた妻のもとです暮らす14歳の息子、翼だった。
その数日後、同級生を殺害した疑いで翼が逮捕されたと知る。
不在着信は犯行時刻の直前。同級生をした日、息子は父に一体何を伝えたかったのか。
この家族は、性格の不一致から両親が離婚をし、バラバラの家族である。
そんな中で起きた事件に戸惑いを隠せない主人公。吉永は、少年犯罪に強い主婦弁護士神崎を雇い、共にあの日翼に何があったのかを突き止めようとします。
依然として口を割らない少年。悩む父。
優しかった息子がなぜこうなってしまったのか。更生とは何なのか。
父の葛藤が良く描かれていて心が痛くなる1冊でした。
離れて暮らしていたとはいえ自分がいかに息子に対し無頓着であったかを悔いる父。こういう形になって初めて息子への理解が深まるというのも皮肉ですよね。
ネタバレになってしまうのですが、
翼は被害者の少年の執拗ないじめにより心が壊れてしまい犯行へと至りました。
裁判前の「体と心、どちらを殺したほうが重い罪になるのか」という問に対して吉永はうまく答えられずにいます。
懲役を終えたあとの描写はその答えを親子で探すものとなっていました。
涙無しには読めません。命について、罪について考えさせられる作品です。