マテリアル

私と本とその他色々

境界線

新年に髪の毛をバッサリと切った。

昔から嫌なことがあると美容室に行く。2年くらい前まではロングヘアだった。

そこから比べると大層さっぱりとしたものだと思う。そして、いやなことが続いたのだろうと過去の出来事に想いを馳せたりもする。

 

先日、同僚に「誰にでも慈悲深くて、平等にやさしいよね」と言われた。

言葉をうまく返せなかった。褒められているのだろうか、それとも責められているのだろうか。

学生の頃は、決まった人にありったけの愛情を注ぐ人間だったかと思う。そして同じことを相手にも求めることが多かった。

そのうち、人とかかわることが毒になり、人とかかわることを辞めた。

関わらなければ社会に疎くなったので、人と深い関係になることを避ける方向にシフトチェンジをした。

先入観もなく誰にでも優しく、見返りを求めず他人に期待をしない。期待をしなければ、だれも私を裏切らない。

冷めてしまった。氷点下、もう自分以外のものに熱を持つことが出来ない。

 

普通に考えれば誉め言葉であろう言葉が刺さった。

かつて自らに死んでやろうとまで考えさせた対人関係とやらの私なりの着地点を見つけたはずだったのに。

年を食ったと考えれば腑に落ちるのかもしれない。年を取ることは、何かを諦めることと似ていると思う。

 

年を取ったと思う出来事が増えた。穏やかになったのではなく、冷めてしまった。

受け入れるのではなく、興味がなくなった。

そういえば一年くらい他人に怒ったこともなかったなぁなんて思う。

怒るだけの気力もなくなった。26歳ってそういうものか。