笑うことが苦手だ。
どのくらい苦手かと言うと、過去にバイト先で笑顔の練習をさせられるくらい笑えなかった。
斜に構えていた時期だったので、何も楽しくなくて笑わなかったと言うのもあったのかもしれない。
今となっては何事も否定から入ることは損だと理解はできるのだが、尖っていることが個性だと勘違いして居た頃の私は、他者を否定することで自分は唯一無二であると思い込みたかった。
25歳を越えた頃から好きなものや人が増えた。
人との関わりから得るものを素直に受け取ることが出来るようになった。
京葉線の高架上から見える変な形の橋を、空へ向かってキリンのように伸びるクレーン車を、綺麗だなぁと思える。
ベーコンエピはちぎって食べられる、噛めば噛むほど味がある。なんて優秀な食べ物なんだろうとか。
誰かから言われた共感の言葉を理解をしてくれる人がいることは嬉しいことだとか。
寒い日の夜の都会は笑いながら走るとすぐに肺が痛くなるとか。
受け入れられないことを受け入れることが出来るようになった時点で私は多分昨日の私よりは大人になっている。